第4回研究会

医療材料加工分科会 第4回研究会 <Web開催>

若手学生が挑む医療材料加工分野への展開

 

  1. 日 時:2021年9月30日(木) 13:00~17:00
  1. 主 催:日本塑性加工学会 医療材料加工分科会
  1. 趣 旨:高齢社会において,今後さらなる高度医療技術の出現が望まれ,塑性加工技術および新しい視点による医療機器製作技術の貢献が期待されています.塑性加工研究者・技術者らによる生体医療材料に関する研究開発事例は多くはなく,最新の知見や考え方を活発に吸収できる体制を整え,これまでの塑性加工研究にとどまらない新しくかつ自由な研究を推進できる人材の育成が急務です.本研究会では,大学の研究室で医療材料加工分野に関連する研究に携わる若手学生にスポットを当て,研究の紹介とお互いの交流,聴講者を含めた議論を行い,将来の人材育成へ繋げることを目的としています.
  1. 発表形式

WebEX meetingを使用したオンライン会議形式

申込者に個別に参加URLをお送りします.

  1. 定員:50名
  1. 参加費:無料(会員・非会員問わず)
  1. 申し込み方法:「医療材料加工分科会 第4回研究会 申込み」と題記し,

(1)氏名,(2)勤務先・所属,(3)通信先(所在地,電話番号,FAX番号,E-mail),(4)会員資格:日本塑性加工学会会員(正会員,名誉会員,学生会員,賛助会員)および所属分科会,を明記のうえ,9月23日までにE-mailにて下記までお申し込みください.

東京大学生産技術研究所 古島 剛宛

E-mail:tsuyoful[at]iis.u-tokyo.ac.jp *[at]を@に変更してください。

  1. プログラム(発表時間10分,質疑応答10分)

13:00~13:05 主査挨拶 東海国立大学機構岐阜大学 吉田佳典君

13:05~14:05 第1セッション

「SLMで作製したTi-6Al-4Vインプラントモデルにおける表面性状がラット大腿骨の生体活性に及ぼす影響」

東海国立大学機構岐阜大学大学院 沓掛あすか,吉田佳典(指導教員)

積層造形で作製したTi-6Al-4V小型インプラントモデルをラット大腿骨内部に長手方向に埋植し,2週間および8週間の飼育管理を行い,生体組織断面サンプルを採取した.1つのインプラントは,造形時の上面,側面,ワイヤーカットで切断後に研磨を施した底面の3種類の表面性状面を有しており,表面の凹凸が異なる.生体組織断面サンプルを染色し,インプラント表面に接触している骨組織の割合を調査した.

「純マグネシウム円管の腐食挙動に及ぼす高粘性培地流れの影響」

芝浦工業大学大学院 堤田耕平,吉原正一郎(指導教員)

本研究は, 外径φ3.1mm, 内径φ2.3mmおよび管長さ10mmの純マグネシウム円管を対象に, 流体の粘性が純マグネシウムの腐食挙動に及ぼす影響の調査を目的としている.そこで, 流体の粘性に着目し, 腐食液に3条件の粘性を持たせて流動腐食実験を24時間行った.また, CFD解析を援用して, 流体の粘性にも影響を受ける壁面せん断応力を調査した.腐食実験とCFD解析の両面から, 流体の粘性による純マグネシウムの腐食挙動を考察した.

「医療機器部品の微細精密プレス加工のための表面あれ進展を考慮した新しいPMC・M-K並行モデルによる成形限界予測」

東京大学大学院 井上立之君,古島剛(指導教員)

医療機器に必要とされる箔材の微細精密プレス加工において,板厚が薄くなるほど成形限界は低下する.本研究で提案するPMC・M-K並行モデルでは,相当ひずみ増加に伴う表面プロファイル変化の測定実験の結果に基づき,均等に進展する表面あれを表現するPMCモデルと,初期の表面性状に因るひずみの局所化を表現するM-Kモデルで並行して計算を行うことにより,高い精度で材料不均質性に起因する表面あれの影響を考慮する.

 

14:05~14:20 休憩

14:20~15:20 第2セッション

「押出成形した自己強化ポリ乳酸製骨固定スクリューの力学的特性に対するリン酸三カルシウム含有率の影響」

サレジオ工業高等専門学校 黒澤暢生,坂口雅人(指導教員)

骨折治療における生体吸収性骨固定具は力学的特性の低さから適用範囲が制限されている.本研究では生体吸収性骨固定具の適用範囲拡大を目標とし,固相押出延伸によって強化されたリン酸三カルシウム/ポリ乳酸複合材料製骨固定スクリューの強度を調査した.その結果,フィラー材含有率の増加によるせん断強度の低下は延伸処理によって軽減された.ねじり強度は含有率の増加により,延伸による強度向上率の増加が見られた.

「液圧軸押込みにおける微細長尺管の材料流動挙動」

芝浦工業大学大学院 河野開,吉原正一郎(指導教員)

マイクロおよび微細長尺管の軸押込みによる型内への管の流動効果は,管長さが長くなることで摩擦抵抗が増大し,管端部の局所変形および成形性の低下を招く.従って,長尺管の成形には材料流動を促進させる条件の適用が重要になる.そこで,外径2.0mmの微細長尺管に対して,液圧を負荷した軸押込みにより材料流動に大きく影響を及ぼす因子を特定する.また,マイクロ管に適用できる材料流動を促進させるための条件を報告する.

「Fabrication of micro tubular needle for single-cell operation by a novel superplastic dieless drawing」

東京大学大学院 YI Yushi,古島 剛(指導教員)

Recently, the metallic microneedles which can help people collect genetic information as a single cell level without any breaking have been receiving more and more attention. As the typical metallic materials, Zn-22Al alloy has higher strength, better ductility and superplasticity which makes it an ideal candidate for microneedles. In order to produce Zn-22Al alloy microneedles which have enough strength, excellent penetration performance and minimally invasive tip, a new method for efficiently producing the microneedles by combining direct microextrusion and dieless drawing process can be proposed. First, the microtube which has small size and longer length fabricated by direct microextrusion is produced, the optimal processing parameter and the influence of extrusion conditions on mechanical behavior are discussed. Then the extruded microtube by optimal processing parameter is used to fabricate the microneedles with 70μm by computer-controlled dieless drawing process.

 

15:20~15:35 休憩

15:35~16:35 第3セッション

「チタン金属表面にストロンチウム及びヨウ素を導入する水溶液-加熱処理技術」

中部大学 水野優香,山口 誠二(指導教員)

整形外科インプラントに用いられるチタン金属にNaOH処理を施すと,金属表面にナノスケールの3次元ネットワーク構造を有するチタン酸水素ナトリウムが形成される.これに加熱処理を施した金属は骨と強固に結合する.本研究はチタン酸水素ナトリウムの層状結晶構造を利用したイオン交換反応により,骨形成促進作用を示すストロンチウム及び抗菌性を示すヨウ素を同時に金属表面に導入する水溶液-加熱処理を開発したので報告する.

「微細長尺管の変形挙動に及ぼす内圧負荷」

芝浦工業大学 北島充,吉原正一郎(指導教員)

チューブハイドロフォーミングにおいて,軸押込み量と負荷内圧が成形性に影響を及ぼす.そこで被加工材のチューブが長い場合,張出し変形する変形領域と,軸圧縮される変形領域とに分けられる.この2つの領域が一体となることにより高い成形性が実現できると思われる.そこで,成形性を向上のため,これらの領域が軸押込みおよび負荷内圧によってどのように推移し,成形性に影響を及ぼすか検討した内容を報告する.

「粉末床選択的レーザ溶融法を用いたTi-6Al-4Vの積層造形における造形条件が未溶融欠陥生成に及ぼす影響」

東海国立大学機構岐阜大学大学院 天草開斗,吉田佳典(指導教員)

粉末床選択的レーザ溶融法を用いて,レーザパワーと走査速度の組み合わせを変更した30条件でシングルビード実験を行った.その断面溶融部形状から未溶融欠陥が生成しない条件を幾何学的に検討した.ビードの断面形状は左右対称と仮定し,本研究ではビード上面形状とメルトプール境界形状を最高次数が4次の遇関数を用いて表現した.その結果,エネルギ密度一定の条件下で本研究のレーザパワーの造形条件の範囲における最も未溶融欠陥のできにくい条件を求めることができた.

16:35~17:00 総合討論・講評