カテゴリー別アーカイブ: 2021年度活動内容

第6回研究会

医療分野におけるレーザ加工活用の最前線

日 時:2022年3月16日(水) 13:30~16:55

会 場:Web開催

主 催:日本塑性加工学会 医療材料加工分科会,レーザ加工分科会

協賛:公益財団法人 天田財団

趣 旨:レーザは自然光に比べて非常に高パワーであり,単色性と指向性が良いことから,レンズを用いて集光することでエネルギー密度を高くすることができます.そのためレーザは,金属の切断,溶接,表面処理,検査,測定,最近では積層造形への適用等,医療分野をはじめ様々なアプリケーションに拡大しています.本研究会は,レーザ加工分科会と医療材料加工分科会のコラボ企画として,近年特に注目が集まっているレーザ加工の医療分野への応用について,積層造形技術を中心に最新の技術動向を紹介します.本研究会はオンラインセミナー形式で開催しますので,どなたも奮ってご参加ください.

内 容:

  1. 金属積層造形のレーザ溶融・凝固のシミュレーション

島根大学次世代たたら協創センター 新城 淳史君

金属積層造形におけるレーザ溶融・凝固プロセスの詳細シミュレーション(パウダーベッド法と指向エネルギー法)を紹介する.航空宇宙耐熱材のNi系合金や医療用Ti系合金などを例に溶融金属の流動現象,その場合金化,蒸気ロスの局所元素混合比への影響,冷却速度,ミクロ組織形成,金属ガラス化などについて議論する.

 

  1. 歯科技工への積層造形の応用

大阪歯科大学 樋口 鎮央君

近年,歯科技工の現場においてはCAD/CAMシステムの発展は目覚ましいものがあり,国内において多くの臨床現場に活用されている.昨今では、樹脂や金属を使用した積層造形法を用いて製作する修復物も製品用途を拡大して使用出来るようになっており,その現状について報告する.

 

  1. デジタルマニュファクチャリングを駆使した3D臓器モデルの開発

クロスエフェクト 竹田 正俊君

2009年より国立循環器病研究センターと共に患者個体ごとの術前シミュレーション用オーダーメイド3D心臓モデルの開発に着手.心臓内腔の再現性は世界トップクラスのクオリティを誇る.若手人材育成の面からも教育用の臓器モデルは求められつつあり,より再現性の高いモデルでより多くの成長の場を提供している実例を紹介する.

 

  1. レーザ加工の医療分野への応用の内容

静岡県工業技術研究所 鷺坂 芳弘君

浜松工業技術支援センターはレーザ加工の振興に注力しており,全国の公設試の中でも最多のレーザ加工機を所有・運用している.これまでレーザ治療や医療機器のレーザ加工についても複数の技術支援を行ってきた.本講演ではそれらの中からフィージビリティスタディから実用化例までの様々な研究事例を紹介する.

 

総合討論

 

定 員:80名 (定員になり次第締切ります.)

参加費:無料(会員・非会員問わず)

申込方法:「医療材料加工分科会・レーザ加工分科会 研究会・セミナー 申込み」と題記し,(1)氏名,(2)勤務先・所属,(3)通信先(所在地,電話番号,FAX番号,E-mail),(4)会員資格:日本塑性加工学会会員(正会員,名誉会員,学生会員,賛助会員),非会員および所属分科会を明記の上,下記宛先まで申し込みください.

申込先:東京大学生産技術研究所 古島 剛宛

E-mail:tsuyoful [at] iis.u-tokyo.ac.jp

 

 

第5回研究会

スポットWebセミナーシリーズ

医療機器開発の基礎;表面創生,動物試験,金属加工技術

日 時:2021年12月21日(火),2022年1月7日(金),21日(金)

いずれの開催日も16:00~17:00

会 場:Web開催

 

第1回 2021年12月21日(火) 16:00~17:00

「医用チタン金属材料への生体活性化処理技術の現状と将来展望」

中部大学 山口誠二氏

生体親和性に優れ, 強度及び靭性の高いチタン金属は整形外科, 歯科用インプラントに欠かすことの出来ない材料となっている..しかし, 骨結合能に乏しいのでゆるみを生じやすく, 感染症により抜去に至る症例も一定の割合で報告されている.そのため, これらの課題を解決するための様々な表面処理技術が研究開発されてきた. 本講演では医用チタン金属材料に骨結合能及び抗菌性を付与する表面処理技術の現状を整理し, 次世代インプラントの実現に向けた技術動向を紹介する.

 

第2回 2022年1月7日(金) 16:00~17:00

「医療機器製品の評価の1つとして骨内埋植試験と動物試験の実施例について」

ハムリー(株) 関あずさ氏

生体内に埋植される被験物質の投与部位は,臨床適用部位に合わせて色々あるが,今回は骨内埋植試験を中心に説明する.実験動物を用いて,性能・効果,安全性の確認等を行うが臨床での使用部位,大きさ等により,動物の種類,埋植部位を決めて行く.また,評価のためにはいろんな検査・測定とともに,標本作製・観察が必要になるので,動物試験から標本観察までの全体像を説明する.

 

第3回 2022年1月21日(金) 16:00~17:00

「低侵襲化治療に貢献する長尺細径管のレーザー加工技術」

二九精密機械工業 (株) 大田智之氏

治療の低侵襲化が求められるに伴って,それに使用されるデバイスの長尺細径化が要求される.特に血管内に挿入されるカテーテルにおいては,材料の選択が重要であるのは当然であるが,構造による機能付与も多く求められる.ここではレーザー加工を中心とした長尺細径管の加工技術を紹介する.

 

参加費:無料(会員・非会員問わず)

申込方法:「医療材料加工分科会 第5回研究会 申込み」と題記し,(1)氏名,(2)勤務先・所属,(3)通信先(所在地,電話番号,FAX番号,E-mail),(4)会員資格:日本塑性加工学会会員(正会員,名誉会員,学生会員,賛助会員)および所属分科会,(5)参加を希望する日時を明記のうえ,各回に設定された締切までにE-mailにて下記までお申込みください.1度にすべての回の参加申込をしても構いません.

申込先:東京大学生産技術研究所 古島 剛宛

E-mail:tsuyoful [at] iis.u-tokyo.ac.jp

 

第4回研究会

医療材料加工分科会 第4回研究会 <Web開催>

若手学生が挑む医療材料加工分野への展開

 

  1. 日 時:2021年9月30日(木) 13:00~17:00
  1. 主 催:日本塑性加工学会 医療材料加工分科会
  1. 趣 旨:高齢社会において,今後さらなる高度医療技術の出現が望まれ,塑性加工技術および新しい視点による医療機器製作技術の貢献が期待されています.塑性加工研究者・技術者らによる生体医療材料に関する研究開発事例は多くはなく,最新の知見や考え方を活発に吸収できる体制を整え,これまでの塑性加工研究にとどまらない新しくかつ自由な研究を推進できる人材の育成が急務です.本研究会では,大学の研究室で医療材料加工分野に関連する研究に携わる若手学生にスポットを当て,研究の紹介とお互いの交流,聴講者を含めた議論を行い,将来の人材育成へ繋げることを目的としています.
  1. 発表形式

WebEX meetingを使用したオンライン会議形式

申込者に個別に参加URLをお送りします.

  1. 定員:50名
  1. 参加費:無料(会員・非会員問わず)
  1. 申し込み方法:「医療材料加工分科会 第4回研究会 申込み」と題記し,

(1)氏名,(2)勤務先・所属,(3)通信先(所在地,電話番号,FAX番号,E-mail),(4)会員資格:日本塑性加工学会会員(正会員,名誉会員,学生会員,賛助会員)および所属分科会,を明記のうえ,9月23日までにE-mailにて下記までお申し込みください.

東京大学生産技術研究所 古島 剛宛

E-mail:tsuyoful[at]iis.u-tokyo.ac.jp *[at]を@に変更してください。

  1. プログラム(発表時間10分,質疑応答10分)

13:00~13:05 主査挨拶 東海国立大学機構岐阜大学 吉田佳典君

13:05~14:05 第1セッション

「SLMで作製したTi-6Al-4Vインプラントモデルにおける表面性状がラット大腿骨の生体活性に及ぼす影響」

東海国立大学機構岐阜大学大学院 沓掛あすか,吉田佳典(指導教員)

積層造形で作製したTi-6Al-4V小型インプラントモデルをラット大腿骨内部に長手方向に埋植し,2週間および8週間の飼育管理を行い,生体組織断面サンプルを採取した.1つのインプラントは,造形時の上面,側面,ワイヤーカットで切断後に研磨を施した底面の3種類の表面性状面を有しており,表面の凹凸が異なる.生体組織断面サンプルを染色し,インプラント表面に接触している骨組織の割合を調査した.

「純マグネシウム円管の腐食挙動に及ぼす高粘性培地流れの影響」

芝浦工業大学大学院 堤田耕平,吉原正一郎(指導教員)

本研究は, 外径φ3.1mm, 内径φ2.3mmおよび管長さ10mmの純マグネシウム円管を対象に, 流体の粘性が純マグネシウムの腐食挙動に及ぼす影響の調査を目的としている.そこで, 流体の粘性に着目し, 腐食液に3条件の粘性を持たせて流動腐食実験を24時間行った.また, CFD解析を援用して, 流体の粘性にも影響を受ける壁面せん断応力を調査した.腐食実験とCFD解析の両面から, 流体の粘性による純マグネシウムの腐食挙動を考察した.

「医療機器部品の微細精密プレス加工のための表面あれ進展を考慮した新しいPMC・M-K並行モデルによる成形限界予測」

東京大学大学院 井上立之君,古島剛(指導教員)

医療機器に必要とされる箔材の微細精密プレス加工において,板厚が薄くなるほど成形限界は低下する.本研究で提案するPMC・M-K並行モデルでは,相当ひずみ増加に伴う表面プロファイル変化の測定実験の結果に基づき,均等に進展する表面あれを表現するPMCモデルと,初期の表面性状に因るひずみの局所化を表現するM-Kモデルで並行して計算を行うことにより,高い精度で材料不均質性に起因する表面あれの影響を考慮する.

 

14:05~14:20 休憩

14:20~15:20 第2セッション

「押出成形した自己強化ポリ乳酸製骨固定スクリューの力学的特性に対するリン酸三カルシウム含有率の影響」

サレジオ工業高等専門学校 黒澤暢生,坂口雅人(指導教員)

骨折治療における生体吸収性骨固定具は力学的特性の低さから適用範囲が制限されている.本研究では生体吸収性骨固定具の適用範囲拡大を目標とし,固相押出延伸によって強化されたリン酸三カルシウム/ポリ乳酸複合材料製骨固定スクリューの強度を調査した.その結果,フィラー材含有率の増加によるせん断強度の低下は延伸処理によって軽減された.ねじり強度は含有率の増加により,延伸による強度向上率の増加が見られた.

「液圧軸押込みにおける微細長尺管の材料流動挙動」

芝浦工業大学大学院 河野開,吉原正一郎(指導教員)

マイクロおよび微細長尺管の軸押込みによる型内への管の流動効果は,管長さが長くなることで摩擦抵抗が増大し,管端部の局所変形および成形性の低下を招く.従って,長尺管の成形には材料流動を促進させる条件の適用が重要になる.そこで,外径2.0mmの微細長尺管に対して,液圧を負荷した軸押込みにより材料流動に大きく影響を及ぼす因子を特定する.また,マイクロ管に適用できる材料流動を促進させるための条件を報告する.

「Fabrication of micro tubular needle for single-cell operation by a novel superplastic dieless drawing」

東京大学大学院 YI Yushi,古島 剛(指導教員)

Recently, the metallic microneedles which can help people collect genetic information as a single cell level without any breaking have been receiving more and more attention. As the typical metallic materials, Zn-22Al alloy has higher strength, better ductility and superplasticity which makes it an ideal candidate for microneedles. In order to produce Zn-22Al alloy microneedles which have enough strength, excellent penetration performance and minimally invasive tip, a new method for efficiently producing the microneedles by combining direct microextrusion and dieless drawing process can be proposed. First, the microtube which has small size and longer length fabricated by direct microextrusion is produced, the optimal processing parameter and the influence of extrusion conditions on mechanical behavior are discussed. Then the extruded microtube by optimal processing parameter is used to fabricate the microneedles with 70μm by computer-controlled dieless drawing process.

 

15:20~15:35 休憩

15:35~16:35 第3セッション

「チタン金属表面にストロンチウム及びヨウ素を導入する水溶液-加熱処理技術」

中部大学 水野優香,山口 誠二(指導教員)

整形外科インプラントに用いられるチタン金属にNaOH処理を施すと,金属表面にナノスケールの3次元ネットワーク構造を有するチタン酸水素ナトリウムが形成される.これに加熱処理を施した金属は骨と強固に結合する.本研究はチタン酸水素ナトリウムの層状結晶構造を利用したイオン交換反応により,骨形成促進作用を示すストロンチウム及び抗菌性を示すヨウ素を同時に金属表面に導入する水溶液-加熱処理を開発したので報告する.

「微細長尺管の変形挙動に及ぼす内圧負荷」

芝浦工業大学 北島充,吉原正一郎(指導教員)

チューブハイドロフォーミングにおいて,軸押込み量と負荷内圧が成形性に影響を及ぼす.そこで被加工材のチューブが長い場合,張出し変形する変形領域と,軸圧縮される変形領域とに分けられる.この2つの領域が一体となることにより高い成形性が実現できると思われる.そこで,成形性を向上のため,これらの領域が軸押込みおよび負荷内圧によってどのように推移し,成形性に影響を及ぼすか検討した内容を報告する.

「粉末床選択的レーザ溶融法を用いたTi-6Al-4Vの積層造形における造形条件が未溶融欠陥生成に及ぼす影響」

東海国立大学機構岐阜大学大学院 天草開斗,吉田佳典(指導教員)

粉末床選択的レーザ溶融法を用いて,レーザパワーと走査速度の組み合わせを変更した30条件でシングルビード実験を行った.その断面溶融部形状から未溶融欠陥が生成しない条件を幾何学的に検討した.ビードの断面形状は左右対称と仮定し,本研究ではビード上面形状とメルトプール境界形状を最高次数が4次の遇関数を用いて表現した.その結果,エネルギ密度一定の条件下で本研究のレーザパワーの造形条件の範囲における最も未溶融欠陥のできにくい条件を求めることができた.

16:35~17:00 総合討論・講評