カテゴリー別アーカイブ: 2022年度活動内容

第8回研究会

医療材料加工分科会 第8回研究会 <Web開催>
「若手学生が挑む医療材料加工分野への展開」

日 時:2022年9月29日(木) 13:00~16:30
オンライン会議形式

プログラム(発表時間10分,質疑応答10分)
13:00~13:05 主査挨拶 東海国立大学機構岐阜大学 吉田佳典君

13:05~14:25 第1セッション 司会:塩見 誠規君
1.「アルカリ処理チタン表面の親水性の安定性に混酸処理が及ぼす影響」
大阪医科薬科大学、中部大学 澤井恭久君
歯科用チタン製インプラントに細胞分化に適した表面凹凸や親水性を付与するため、しばしば酸処理が施される。一方、我々はチタン金属にNaOH-CaCl2-加熱-ICl3処理(ヨウ素処理)を施すことにより、高い親水性、抗菌性及び骨結合能を付与できることを示している。本研究ではヨウ素処理を施した表面は安定な親水性を示すこと、及び、事前に酸処理を施すことにより、親水性がさらに改善されることを見出したので表面性状変化とともに報告する。

2.「SLM未溶融欠陥生成予測モデルに基づく造形時間最小化」
東海国立大学機構岐阜大学大学院 天草開斗君
粉末床選択的レーザ溶融法を用いた造形において,未溶融欠陥,ボーリングおよびキーホールがなく,最短時間で造形することのできるレーザパワー,走査速度およびハッチングピッチの組み合せを簡便な造形実験から幾何学的に予測するモデルを提案した.提案したモデルにTi-6Al-4Vのシングルトラック実験の結果を適用することで造形時間が最小となるレーザパワー,走査速度およびハッチングピッチの組み合せ示した.

3.「Ti-6Al-4Vを用いた未溶融欠陥生成予測モデルの検証」
東海国立大学機構岐阜大学大学院 箕浦秀真君
粉末床選択的レーザ溶融法を用いた造形において,SLM未溶融欠陥生成予測モデルの検証を行うために,モデルから求められたTi-6Al-4Vの最短時間で造形できる条件を含む種々の条件でブロックを作製した.作製したブロックにおけるレーザ走査方向と垂直な断面の空孔率,引張試験結果および上面性状の評価を行った.また,モデルによって予測された条件のトラック形状についても実際の形状と比較し,モデルの検証を行った.

4.「押出型鍛造によって成形したTCP/PLA骨固定スクリューの力学的特性に及ぼす延伸比及び含有量の影響」
サレジオ工業高等専門学校 荒川陸君
骨折治療に使用する材料として生体吸収性のポリ乳酸 (PLA) とリン酸三カルシウム (TCP) の複合材料に注目した. TCP/PLA骨固定スクリューの力学的特性を向上させるため,押出型鍛造による分子鎖配向に着目し,延伸比 (ER) およびTCP含有率を変化させて検討した.押出型鍛造によりER1.3, 4, 8でスクリューを成形し,せん断強度を測定した.その結果せん断強度はERとともに増加し,ER4で最大のせん断強度を示した.

14:25~14:40 休憩

14:40~16:00 第2セッション  司会:吉田 佳典君
5.「マイクロ長尺管の材料流動に及ぼす逐次ハイドロ十字成形の影響」
芝浦工業大学大学院 田村 緋梨君
医療やその他分野で機器の小型化が進む中、マイクロ管の需要が高まっている。しかし、マイクロ管を用いた成形法であるマイクロチューブハイドロフォーミング(MTHF)は、金型との摩擦抵抗の影響により、高い成形性の実現が困難になる。そこで、成形時の型開閉を許容する逐次ハイドロ成形が提案された。本研究では、逐次ハイドロ成形を用いて、材料流動がより促進する条件を調査、マイクロ管の成形性向上を目指した。

6.「純マグネシウムの腐食挙動に及ぼす繰返し応力の影響」
芝浦工業大学大学院 花山環君
次世代ステントにおいて母材の候補であるマグネシウムの材料,ここでは純マグネシウムを取り上げ,純マグネシウムの腐食挙動におよぼす影響を調査した.具体的には,温度6条件で熱処理を施した材料に応力値20MPaの圧縮-引張繰返し応力を付与した後,0.9%の塩化ナトリウム水溶液に24時間浸漬した.また,熱処理温度2条件で応力値10MPaおよび30MPaの繰返し応力を付与した材料の浸漬試験を行った.質量損失量や粒径観察等の評価項目から純マグネシウムの腐食挙動におよぼす繰返し応力の影響を考察した.

7.「Effects of crystal orientation on ductile fracture behavior in manufacturing process of micro parts for medical components」
東京大学大学院 CHEN Jiewei君
To optimize the micro metal forming process for higher formability and productivity, numerical investigations have been conducted by researchers. However, early onset of local crack due to inhomogeneous deformation occurs during micro metal forming. To address this problem from size effects, crystal plasticity model was coupled with uncoupled Rice Tracy model to investigate the ductile fracture behavior under a certain range of stress state, to cover the real stress state of deep drawing process for micro medical cups. Ductile fracture dependence on materials anisotropy from crystal orientation was discussed with consideration of stress states.

8.「医療機器部品の微細精密プレス加工のための二軸引張応力下における金属箔材の自由表面あれ進展挙動のその場観察」
東京大学大学院 大宅由倫君
医療機器に必要とされる箔材の微細精密プレス加工において,板厚が薄くなるほど表面あれ進展の影響は大きくなり,成形限界の低下等に大きく影響を与える.しかしながら表面あれが進展するメカニズムを未だ明らかになっていない.本研究では,微細精密プレス成形における2軸の応力状態中の表面あれ進展に結晶方位が及ぼす影響を明らかにするため,その場観察が可能なMarciniak試験により,結晶と表面あれ進展のその場観察を行った.

16:00~16:30 総合討論・講評